カレーに合う音楽というか、夜のドゥニヤにはマイルスがイイ。
夜のドゥニヤにはJAZZがよく合います。中でもマイルス・デイビスは一番好きです。いつもからだの芯で吹いている感じがする。マイルスのからだの芯が放射する音に、聞いている自分もからだの芯で呼応する。こういう音は古くならないように思います。
マイルスは生涯痩身でスタイリッシュでしたが、外見の硬質さと彼の吹く音に含まれる「肉体と精神の芯」の成分が合成されて醸し出す独特の空気感、音世界は見事です。
"Kind of blue"、"ROUND ABOUT MIDNIGHT"や"MILES IN BERLIN"、いずれもそうですがドライビングミュージックとして抜群です。曲のテンポに関係なく車のスピード感に溶け込んできます。
"Kind of blue"は、コンクリートの構築物が立体的に交錯し錯綜する夕暮れの都市高速がイケます。ビル・エヴァンスのバッキングの力量が凄いのか、とても緻密でめちゃスリリングです。この感じ、モダンで整然とした部分を含み全体としてはトッ散らかって猥雑な都市空間にやたらとマッチします。だからノンストップで走れる都市高速がいい。
"ROUND ABOUT MIDNIGHT"は雨の日の夜のドライビングミュージックで飛べます。空間の湿り気が音に対してからだを開いていく気がします。マイルスのミュートトランペットのハイノートがやけにやけに美しい!
カレー(マサラ料理)には、食べ始めるとどこかドライブが掛かっていく感覚があります。だからドライビングミュージックが合うのでしょうか。こういう音楽に香辛料はいい、できればアルコールもあった方がいい。飲める人なら瑞々しさのあるジンロック、フレッシュなジンライムあたりでしょうか。
ピアノはビル・エヴァンス、テナー・サックスにジョン・コルトレーン、アルト・サックスにキャノンボール・アダレイを迎えて、ベース ポールチェンバースとドラムス ジミーコブのリズム・セクションという豪華なメンバーです。
"Kind of blue"はジャズ史上に残る「名作」とよく言われます。コードによるインプロヴィゼーションから、モードによる「モード・ジャズ」を確立したアルバムだからだそうですが、まあそれはいいとして、マイルスマジックとビル・エヴァンスの空間構築的で余韻を残すバッキングに乗ったコルトレーンとキャノンボール・アダレイのインタープレイも、一曲目の"So What"から全曲緊張感に溢れていてとてもかっこいい。
Mile Davis(tp), Julian"Cannonball"Addeley(as), Jhon Coltrane(ts), Wynton Kelly, Bill Evans(p), Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(d)
COLUMBIA/LEGACY CK64935 1959
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"KIND OF BLUE"より3、4年前の録音。ハード・バップを確立したと言われる作品で、新人ジョン・コルトレーンをはじめて起用、ピアノはビル・エヴァンスではなくレッド・ガーランドです。そして、この時のレッド・ガーランドは凄い。マイルスとのコンビネーションがハマりにハマって弾けるスイングです。
セロニアス・モンクの名曲をギル・エヴァンスがアレンジ、以来マイルスの代表曲となった"ROUND ABOUT MIDNIGHT"、そして"AH-LEU-CHA"、"ALL OF YOU"とぐんぐん盛り上がっていって、"BYE BYE BLACKBIRD"、"DEAR OLD STOCKHOLM"のマイルスのミュートトランペットのハイノートは胸に響くなんとも言えない美しさ。絶品!
Miles Davis(tp), John Coltrane(ts), Red Garland(p), Paul Chambers(b), "Philly Joe"Jones(ds)
SRCS 9725 1955-1956
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ジャズ・メッセンジャーズで活躍していたウエイン・ショーターがマイルスのユニットに初めて参加した1964年9月の録音。ライブですがメンバー全員の抑制が効いた素晴らしいアルバムだと思います。とくにドゥニヤのような店舗で聞くにはこのくらいクールな音楽はいいです。オリジナルから大きくフェイクしていていろんな批評もある「枯葉」も私は好きです。初参加のショーターは最高のプレイとは言えないと思いますが、ハンコックのピアノと18歳のトニー・ウイリアムスが冴えていて、全体のテンションを常にキープしています。涼やかでクールな風が吹く、そんなステージが目に浮かぶような心地良い音です。
Miles Davis(tp), Wayne Shorter(ts), Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)
CBS R 221926 Sep 25, 1964
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リチャード・ボナ(カメルーン出身のベーシスト、ボーカリスト、コンポーザー)
この人、最初はサリフ・ケイタのとこでプレイしてた。今やジャコ・パストリアスを越えてしまった天才ベーシストで世界中のセッションやレコーディングに引っ張りだこ状態。日本でも渡辺貞夫さんや渡辺香津美さんのバンドで大活躍。おそろしく才能豊かなひとで、曲もいいしボーカリストとしてもすごくイイ!
Scenes from My Life (1999)
Reverence (2001)
Munia: The Tale (2003)
Tiki (2005)
Bona Makes You Sweat [live] (2008)
Ten Shades of Blues (2009)
Bonafied (2013)
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Rodorigo Y Gabriela(ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ)から4枚のアルバムを紹介。これがまた香辛料とラムに合うのよ、結構たまらん風情です(^^)
"Area 52" Rodorigo Y Gabrielaのスタ録5作目。いつものギターヂュオじゃなくてキューバのミュージシャンを起用して厚みのあるサウンドになった。アフロキューバンのギター作品として珠玉。
他の3枚はRodorigo Y Gabrielaの真骨頂。Gabrielaのパーカッシブなワークが冴える"Live in Japan" "11:11"のグルーブは素晴らしい。"Re-Foc"は少しだけしっとりしたところがあって3枚のなかでは一番ラテンフレーバーが漂います。
超絶技巧のギターヂュオってことで世界に名を馳せたふたりですが、メキシコ出身のハードロッカーがナイロン弦とエフェクター駆使でラテンスパニッシュに弾きまくるスタイルはちょっと異次元です。
※ドゥニヤでは音楽をランダム再生で流していますので、ひとつのアルバムを曲順に聞くことは出来ません。ご了承ください。
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友人が持ってきてくれたとても古いパワーアンプ。数十年のチューニングを経たアンプに、久しぶりのローテーションです。
3極菅オーディオで活き活きした表現です。トランスは律儀な巻の日本製、だからもうちょっとだらけた音像も欲しいところですがそれでもいい感じ。スピーカーはクリプッシュなので相性からするとバランスはいいかも。
今度のアンプは先代ののアンプより音の粒子と粒子の距離が近い。その分、だらしなさは無いけど音と音に親密感があります。
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ドゥニヤのスピーカー(写真上)を作ってくれた友人が「最近のメーカー製スピーカーも使ってみると結構いいよ」と言うので、8年間休まず鳴り続けてくれたスピーカーから今時のスピーカーに交代しました。ご苦労さまでした。
新しいスピーカーはKlipsch(クリプシュ)/ RB-41 II (写真下)、プリ、メインはこれまで通りの管球式アンプです。ブックシェルフ型の小っちゃいスピーカー(22.6×14.4×19.8cm)なのにロードホーン機構を持っています。だから音のパンチはあります。そのせいかWEB上のレヴューではあまり分解能や解像度は高くないと書かれることも多いようです。
まだ鳴らし始めたばかりではっきりしたことは言えませんが、バランスが非常にいいので解像度は気になりません。音像に小さな粒子感をよく表現するのも好みです。湿度の少ない音です。
昨晩から、やかましくない中高音の伸びやかさを目指してエージング中。1年経ったら女性ボーカルがどんな音になってるか楽しみです。
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管球式のプリアンプが追加されました。これまでドゥニヤで使っているプリメインアンプSUNVALLEY WS350Bを作ってもらった高崎さんに、新しいプリアンプの製作とチューニングをして頂きました。
もともとSUNVALLEY WS350B一本だけでもいい音で鳴っているな〜と思っていたのですが、プリを入れてみるとさらに心地良いドライブ感と音の粒子の自然な粒立ちがバランス良くプラスされて、音楽全体にくっきりとした輪郭がでています。新鮮な驚きです。この嫌みのない明快さは好きですね、ゴリゴリしたところが無いので押し付けてこない、こういう音はあるようでなかなか耳にしないんです。オーディオの世界の奥深さを感じます。
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今、ドゥニヤで使っているのはSUNVALLEY WS350Bという真空管アンプ。友人で別府在住のオーディオマニア高崎吏さんに作ってもらいました。使用真空管はビーム管のGolden Dragon 350Bです。真空管やコンデンサなどの部品はオリジナルの仕様からグレードアップされているようです。
他の真空管アンプも使ってみましたがこのGolden Dragon 350Bは、回路の良さもあるのでしょうが音の膨らみと輪郭の強さがいいバランスです。高域(高い鈴の音など)は少し足らない感じがありますが、ほぼ全域でよく鳴ります。高域の足らないところはスピーカーのチューニングで入れた方がいいそうです。少しボリュームを上げてもうるさい音になりません。高級なアンプやハイエンドオーディオではありませんが、ドゥニヤでよく流しているアコースティックなJAZZやBOSSA、World系のソースはいい感じで鳴ってくれます。
店舗で使っているのでアンプには長時間灯が入っています。真空管アンプは熱でこなれていくようで、毎日使っていると回路のメタルがだんだん音を覚えていくのでしょうか。管球式らしい暖かみのある音に変わっていきます。暖かくてキリッとした音です。これがとても面白いので、そのうちオーディオマニアの仲間入りしそうです。
SUNVALLEY WS350B シングルパワーアンプ
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